WRC2024/01/30

「もっといいクルマをつくり」の大きな一歩

(c)Toyota

 2024年開幕戦のラリー・モンテカルロは、二人のワールドチャンピオンの名前を冠した進化型GRヤリスの特別仕様車「セバスチャン・オジエEdition」と「カッレ・ロバンペラEdition」がモナコで発表されるなど、トヨタにとっていくつもの大きな話題のなかで開催されることになった。トヨタGAZOOレーシング・ワールドラリーチームの豊田章男会長は、WRCへの復帰を発表した9年前に自身が掲げてきた「もっといいクルマをつくり」もまた新たな第一歩を踏み出したと語った。

 トヨタは、先週末に行われたラリー・モンテカルロではセバスチャン・オジエが接戦のすえに惜しくも10回目のホームでの勝利を逃したのもの、オジエとエルフィン・エヴァンスが2-3位でフィニッシュ、2台のトヨタGRヤリスRally1がポディウムを達成することになった。

 そしてトヨタ・ワークスからのフル参戦初戦の勝田貴元は金曜日に凍結した路面でミスしたことで19位まで後退したものの、その後、3番手タイムを4回記録して最終的に総合7位でラリーをフィニッシュしている。

 また、モンテカルロでは新しいトヨタGRヤリスRally2が4台デビュー、今季からこのマシンでWRC2に挑むサミ・パヤリが今回はポイント対象イベントとしてノミネートしていなかったが、GRヤリスRally2勢で最上位となる総合12位、RC2クラスで5位でのフィニッシュを迎えている。

 TGR-WRTの豊田会長は、ラリー・モンテカルロのあとコメントを発表、8回目のシーズン開幕戦が、「もっといいクルマをつくるため、多くの方々に笑顔になっていただくため」の大きな一歩になったとふりかえっている。(以下、コメント全文)
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「8回目のシーズンスタートはTOYOTA GAZOO Racing WRTにとって新たな一歩となりました」

「9年前、私は皆さまの前でWRC再参戦を宣言しました。そのときの言葉は『お客様が”日常使う道”を舞台に”日常使う市販車”をベースとしたクルマで争われるラリーは、ヒトとクルマを鍛え上げるためには最適な舞台。もっといいクルマをつくるため、多くの方々に笑顔になっていただくため、WRCの道に再び戻らせていただきたい』」

「今回、7シーズンを経て、“お客様に笑顔になっていただくクルマ”を、さらに2つ提供させていただくことができました」

「ひとつはチャンピオンエディションの2台、「セバスチャン・オジエEdition」と「カッレ・ロバンペラEdition」です。単なる記念モデルではありません。二人のチャンピオンが開発に入り込み、彼らの求める味を実現したモデルです」

「カッレのクルマは私も大好きなドーナツ味も楽しめるとのこと。私も一度、試食してみたいと思っています。セブのクルマには、なぜか“MORIZOモード”がついています。開発中にセブが行き着いた味付けが、私の味付けと同じだったので、セブの計らいでチャンピオンのクルマに私の名前も乗せてもらえることとなりました。セブありがとう」

「もうひとつは「Rally2」です。初の実戦となるモンテカルロで、4組のお客様が乗ってくださいました。実力が示されていない未知数のクルマで、さっそく挑戦いただいた4組のチームの皆さまに心から感謝いたします」

「日本の第1号車の納車先は“普通のクルマ好きおじさん”です。まだ納車はされておりませんが、モリゾウも先ず乗ってみて、改善点がないかなど試してみたいと思います。その後、そのクルマは、国内のカスタマーに貸し出して全日本ラリーに参戦してもらう予定です。Rally2をWRCや全日本ラリー間に合わせるため、フィンランドのメンバー達は大変な努力をしてくれていると聞いています。まずはデビュー戦モンテカルロで4台すべてが完走できて安心しました。クルマそのものも、サポート体制も、これから改善させ続けていかなければ、お客様に選ばれるクルマにはなっていきません。今回がスタートです。チームの皆さん、よろしくお願いします」

「TOYOTA GAZOO Racingにとって、WRCはただ勝てばいいというものではありません。「もっといいクルマをつくるため、多くの方々に笑顔になっていただくため」の参戦です。これまでの85回の喜びや悔しさが、今回も“お客様の乗るクルマ”に結びつきました。本当に大きな一歩です。その一歩を優勝で飾ることはできませんでしたが、3台のRally1と4台のRally2の走りを、確実に次のラリーに繋げ、2024シーズンも最高の1年にできるよう、チーム全員で努力を続けていきましょう。ヤリ-マティ、今年もよろしく頼みます!」

(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team会長
豊田 章男)