WRC2023/12/27

【TOP10-第9位】ダニエル・ソルド

「速いソルドが戻ってきた」

(c)Hyundai

Daniel Sordo
Hyundai Motorsport

毎年、これが最後のシーズンになるのではないかと囁かれながらも、ダニエル・ソルドは最強のサードドライバーとして期待に応えてきた。それでも、10年ぶりのモンテカルロの表彰台に挑みたいと語りながらも7位に終わり、今季初のグラベルラウンドとして行われたメキシコでは有利な後方からのスタートにもかかわらずトップグループに追いつくためのスピードはもはやなかったかのようにも見えた。

若返りを図ろうとするチームのなかで今度こそ本当に最後のシーズンになるのか。そんな疑念のなか、ポルトガルでは2位でフィニッシュ、3年連続での表彰台を達成したソルドは、不運な事故で急逝したチームメイトのクレイグ・ブリーンから復活のパワーを与えられたとのエピソードを明かしている。

「スウェーデンで初日トップに立ったブリーンに電話して『最後までプッシュしろ。君ならできる!』とエールを贈ったんだ。そしたら、(2位でフィニッシュした)ラリー後に、彼はこう言ってきた。『今、君はプレッシャーを抱えているだろう。僕はまた速くなったからね!』ってね。だから今、僕は彼に言わなければならない。『速いソルドが戻ってきたぞ!』と。

雨となったサルディニアはソルドには不利な条件でのスタートとなり、エキゾーストを壊してリタイアとなったが、ケニアでは5位、そしてギリシャでは最終ステージまでエルフィン・エヴァンスとポジションを争ったすえに、2年連続表彰台となる3位でフィニッシュ、チャンピオン候補ともペースがほとんど衰ってないことを証明した。

今季7戦目となるジャパンでソルドはまたも不運に見舞われることになった。昨年のジャパンはマシン火災のためリタイアとなったが、今度も同じく金曜日の朝のステージでハイドロプレーンを起こしてコースオフ、シーズンを終えることになった。

一年前には表彰台獲得率が6割を超えていたソルドだが、今季はわずか2度の表彰台にとどまってしまい、ジャパンでは、来季のシートが失われることを覚悟していたかのように、「自費でもいいからポルトガルに家族を招いてラリーを走りたい」と、引退のプランを口にしていたほどだった。だが、チームは豊富な経験をもつベテランを手放すことはしなかった。

ソルドは来季もサードドライバーとして、ラフなグラベルイベントを担当するという。かつてはターマックのスペシャリストとして評価される時代もあったし、WRC初優勝もドイツのダーマックだった。しかし、時代は変わり、40歳を迎えた今もサバイバルのイベントで着実にチームにポイントをもたらす能力が評価されている。

時代の激しい変化のなかで、たくましく生き残ってきた最強のサードドライバーはまだまだ最前線に必要とされている。

■ダニエル・ソルド
生年月日:1983年5月2日(40歳)
選手権ランキング:8位
獲得ポイント:63点
ベストリザルト:3位
優勝回数:0回
2位の回数:1回
3位の回数:1回
表彰台回数:2回
出場回数:7回
ベストタイム回数:6回
リードしたステージの数:1SS
リタイア数:2回
リスタートの回数:0回
パワーステージ勝利数:0回
パワーステージ獲得ポイント:4点