WRC2023/12/21

アビテブール、チーム代表のままヒョンデ社長就任

(c)Hyundai

 ヒョンデ・モータースポーツGmbHは経営陣を刷新する。シリル・アビテブールがチーム代表に留まりながら、退任したショーン・キム社長の後任として新社長に昇格した。

 キム社長は、2019年と2020年にマニュファクチャラータイトルを獲得を達成したスコット・ノー前社長に代わってヒョンデ・モータースポーツ社長に就任してきたが、韓国本社のロードカー部門に異動し、アビテブールは社長とチーム代表の二役を同時に担うことになる。

 アビテブールは今年1月にチーム代表に着任した。2023年のヒョンデのラリー勝利数は前年よりも少なかったが、彼は、チーフエンジニアのフランソワ-クサビエ・ドゥメゾンを起用するなどチームの改革を進め、オイット・タナクを1年後にチームに呼び戻すことに成功した。2019年のワールドチャンピオンは、Mスポーツからの移籍を決めた要因のひとつとしてアビテブールの指導力を挙げている。

 ヒョンデのモータースポーツ担当副社長であるティル・ワルテンベルグは、2023年シーズン中のアビテブールの働きぶりが、彼を新社長に据える決断の鍵となったと指摘した。

「わずか12カ月の間に、シリルは素晴らしい戦略的スキルをもって、改善のための明確なロードマップを示してくれた」とワルテンベルグは述べている。

「彼の経験と洞察力は、2023年までの間、アルゼナウに新たな活力をもたらし、FXドゥメゾンのような重要な人材を惹きつけ、もちろんオイット・タナクの復帰を後押ししてくれた」

「過去2年間にわたるショーン・キムの有能なスチュワードシップに感謝するとともに、この強固な基盤を基に将来さらなる成功を収めることを楽しみにしている」

 アビテブールは社長に就任することで、ヒョンデ・モータースポーツにおける新たな責任をもつだけでなく、韓国とヨーロッパにおけるモータースポーツ子会社と企業のパイプ役としての戦略的役割も担うことになる。また、来シーズン以降に向けてパフォーマンスと効率を向上させることを目的とした、いくつかの社内リストラ策を伴うものだと説明されている。

 アビテブール新社長は次のようにコメントしている。

「まず最初に、私をヒョンデ・モータースポーツに連れてきてくれたショーン・キムと、この新しい役割に対して私を信頼してくれたヒョンデに感謝しなければならない」

「私たちには、参戦するカテゴリーで明確な目標がある。また、ヒョンデ・モータースポーツがヒョンデ・カンパニーの進化を反映し、Nブランドと製品に関連するプラットフォームであり続けるための変革をもたらすことが私たちの任務となる。やるべきことがあるのは承知しているが、私たちは献身的で才能があり、多文化的な人々で構成されたチームを享受しており、私はショーンが在任中に行ったような尊敬と信頼という価値観をもって指導に努めたいと思っている」

 キム前社長は、アビテブールにリーダーシップの元でのヒョンデ・モータースポーツの成功を確信していると述べている。

「今日、私は社長の役割をシリル・アビテブールに引き継ぐ。この2年間、ヒョンデ・モータースポーツは私にとって家族のような存在だった。私は新たな挑戦に向かうが、ヒョンデ・モータースポーツが新たなリーダーシップ・チームの手に委ねられ、これからのシーズンに向けて力強くプッシュしていけることを確信している」