WRC2024/01/21

ジュニアWRC、2024年に向けて記録的なエントリー

(c)M-Sport

 FIAジュニアWRC選手権には、過去20年間で最大のラインナップとなる19名のドライバーが登録、2024年シーズン開幕戦のラリー・スウェーデンに挑む。

 ジュニアWRCは今季もMスポーツ・ポーランドが製作したフォード・フィエスタRally3エボとピレリタイヤのワンメイクで争われる。19名のドライバーのうち、なんと13名が新たな挑戦者だ。また、このうち4名は、フィエスタRally3による全6戦のFIAラリースター・トレーニングプログラムのなかから選ばれたFIAラリースター・ドライバーとなる。

 今季のジュニアWRCは雪と氷のラリー・スウェーデン(2月15日〜18日)で開幕、ターマック戦のクロアチア・ラリー(4月18日〜21日)、ルースグラベルのラリー・イタリア・サルディニア(5月30日〜6月2日)、高速グラベルのラリー・フィンランド(8月1日〜8月4日)が続き、厳しいグラベル路面をもつアクロポリス・ラリー・ギリシャ(9月5日〜9月8日)でシーズンは締めくくられる。

 チャンピオンシップのポイントほかにステージ優勝1回につき1ポイントが与えられるほか、シーズンで3戦以上参戦したドライバーには最終戦ギリシャではチャンピオンシップのダブルポイントが与えられる。

 今季のジュニアWRCのチャンピオンには、2025年のWRCのヨーロッパ4ラウンドをフォード・フィエスタRally2で戦うための参戦パッケージが褒賞として贈られるため、ジュニアWRCからの自然なステップアップとなる。チャンピオンは、さらに2つの欧州ラウンドに補助金付きで出場することもできる。

 FIAジュニアWRC選手権マネジャーのマチェイ・ヴォダは、次のように語った。「今年のエントリー数は予想を上回るものだった。この驚くべき参加台数は、ジュニアWRCの強い魅力を強調するだけでなく、その世界的な意義と、新進ラリーの才能を発掘する重要なプラットフォームとしての役割も浮き彫りにしている」

「フィエスタRally3エボが若いドライバーにとって優れたマシンであることは、2023年の国際的な活躍と結果によって証明されており、今季はさらに素晴らしいアクションとエキサイティングなバトルがされることを期待している。

■2024年のジュニアWRC参戦ドライバー
ナタニエル・ブルーン(ボリビア、18歳)
若干18歳のブルーンは、FIAジュニアWRCの最年少ドライバー。キア・リオ・プロトを駆って母国ボリビア選手権で1勝を飾り、昨年のギリシャでのFIAジュニアWRCデビュー戦でステージ3番手タイムを記録している。

イーモン・ケリー(アイルランド、25歳)
2022年に英国選手権ジュニア・タイトルを獲得したケリーは、2023年にジュニアWRCに参戦し、挑戦2戦目のクロアチアでの優勝を飾り、シーズン4位になっている。

ディエゴ・ドミンゲス(パラグアイ、23歳)
2022年にアクロポリス・ラリーでWRC3初優勝を飾ったドミンゲスは、2023年のジュニアWRCでは5戦中4戦で表彰台を獲得、最終戦のアクロポリスで初優勝を飾り、王者のウィリアム・クレイトンに次いでシーズンを2位で終えることになった。またWRC3でも3勝を飾り、シーズン2位となっており、このカテゴリーで今年最も経験豊富なドライバーといえる。

ジェラルド・ロセロット・バレンズエラ(チリ、22歳)
シトロエンC3 Rally2でチリ選手権に挑んでいるロセロットは、昨年、チリでWRCデビュー、WRC2の12位となっている。スノーイベントの経験のない彼はスウェーデンに先立ち、フィンランドのロヴァニエミで事前テストを行う。

ラウル・エルナンデス(スペイン、22歳)
ランサローテ出身のエルナンデスは、2022年カナリアカップのタイトルに輝き、2023年はジュニアWRCに3戦出場し、スウェーデンでの5位が最高成績だった。

ロベルト・ブラーチュ(スペイン、27歳)
母国スペインで複数のジュニア・タイトルを獲得したブラーチュは、2023年にジュニアWRCに転向し、シリーズ4位でフィニッシュした。クロアチアでは3回のステージ最速タイムを記録し、アスファルト上での印象的な速さを証明した。

トム・レンソネ(ベルギー、22歳)
2022年にベルギー選手権のジュニア王者に輝いたレンソネは、ティエリー・ヌーヴィルに続くベルギー出身の期待の星となっている。昨年のジュニアWRCではクロアチアで2位、ギリシャで3位表彰台を獲得、デビューシーズンにおけるハイライトとなっている。

ヤクブ・マトゥーカ(ポーランド、23歳)
マトゥーカは、ジュニアWRCは初挑戦だが、フィエスタRally3ではポーランド選手権やERCで豊富な参戦経験を持ち、2023年には17戦に出場し、ERC3選手権で総合2位を獲得している。

ペトル・ボロディン(カザフスタン、28歳)
ボロディンは2023年、フィエスタRally3でフィンランドでWRCデビュー、WRC3で8位となっている。母国カザフスタンの選手権では昨年3勝を飾っている。

ブルーノ・ブラシア(ボリビア、21歳)
WRC2の常連、マルコの弟でもあるブルーノ・ブラシアは、これまでに13戦のWRC2に挑んでおり、2023年のスウェーデンとエストニアでは10位でフィニッシュしている。2024年シーズンはジュニアWRCに初参戦し、その経験を武器にタイトル争いが期待される。

アブドゥラ・アルラワヒ(オマーン、23歳)
オマーン出身のアル・ラワヒは2023年に中東ラリー選手権で伝説の王者ナッサー・アル-アッティーヤと同ポイントで彼と並んで王者に輝いている。

ファビオ・シュヴァルツ(ドイツ、18歳)
元ワークスドライバーでWRCラリー勝者のアルミンの息子であるファビオ・シュヴァルツは、若干18歳ながら豊富な経験を誇る。これまでラトビア、エストニア、そして母国ドイツのイベントに参戦してきた彼は、2024年にジュニアWRCにステップアップする。

ミッレ・ヨハンソン(スウェーデン、18歳)
昨年、ジュニアERCで8位となったヨハンソンは、2024年にジュニアWRCデビューする。2023年は前輪駆動のフォード・フィエスタRally4で参戦した彼にとって初の4輪駆動マシンでのシーズンとなる。

ノルベルト・マイオール(ルーマニア、25歳)
2023年にジュニアERCのタイトルを獲得しているノルベルト・マイオール。コドライバーは妹のフランチェスカ・マイオールが務める。これまでにWRCに参戦した経験はない。

テイラー・ギル(オーストラリア、20歳)
FIAラリースター・プログラムから新たにエントリーした4人のうちの1人。2022年にオーストリア選手権で6位となったあと、2023年、FIAラリースター・プログラムに参加、スタートしたすべてのラリーで完走を果たした。

ロメット・ユルゲンソン(エストニア、24歳)
FIAラリースターのヨーロッパ大会で優勝したユルゲンソンは、2023年にフィエスタRally3でヨーロッパ各地のラリーを転戦し、圧倒的な速さを見せた。クロアチアのラリー・ノヴァゴリツァではRally2カーを駆る複数のドライバーを凌駕し、総合3位という最高の成績を収めた。

マックス・スマート(南アフリカ、21歳)
スマートはモトクロスでキャリアをスタートさせたが、2022年にFIAラリースターのアフリカ大陸決勝で優勝したことをきっかけにラリーに転向した。これまでまだ6戦のラリーしか経験はない。ジョン・アームストロングを昨年のERC3選手権タイトルに導いたキャメロン・フェアがコドライバーを務める。

ホセ・アビト・カパロ(ペルー、26歳)
スマートと同様、カパロもFIAラリースター・アメリカン決勝で優勝するまでラリー経験はなかった。2023年の印象的なパフォーマンスにより、今年のジュニアWRCに出場することになった。

アンドレ・マルティネス(ペルー、26歳)
マルティネスもジュニアWRCのニューカマー。昨年のラリー・チリ・ビオビオでヒョンデi20 N Rally2でWRCにデビューし、総合25位、クラス12位でフィニッシュした。