WRC2024/02/23

タナク、勝田がプッシュしたのは正しいアプローチ

(c)Hyundai

 ヒョンデ・モータースポーツのオイット・タナクは、ラリー・スウェーデンの土曜日の朝、勝田貴元がプッシュし続けたことは強く成長するための正しいアプローチだったと断じ、クラッシュはさらに強くなるための通過儀礼だったと語っている。

 勝田は土曜日、エサペッカ・ラッピから3.2秒遅れの総合2位でスタートしたが、この日の最初のステージでラッピのリードを0.9秒に縮めることができたが、プッシュを続けた結果、次のステージでスノーバンクにはまるという災難に見舞われ、初優勝のチャンスを残念ながら失うことになった。

 2019年にワールドチャンピオンに輝いたタナクも、2017年のラリー・イタリア・サルディニアに自身73回目のWRC参戦でようやく勝利を手にするまでは長い道のりを辿り、勝田と同じような傷心に何度か苦しんだ。なかでも2016年のラリー・ポーランドでは雨の最終ステージでのパンクのため初勝利のチャンスを失い、ステージエンドでクルマを離れて嘆き悲しんだことがあった。セバスチャン・オジエがすぐに彼に傍に近づいて、その健闘を讃え、肩車をして彼をゴール地点へと運んだ感動的なシーンを記憶している人も多いだろう。

 勝田の親友でもあるタナクは、勝田は耐えなければならなかったが、プッシュし続ける以外に正しい選択肢はないと語っている。

「彼はおそらくまだ少し忍耐が足りないかもしれない」とタナクは語ったが、すぐにこう続けている。「それでも、(土曜日に)プッシュする必要がなかったとは思わない。EP(ラッピ)と接戦を繰り広げていたし、ふたりとも同じようなペースで走っていたから、プッシュし続けたのは間違いなく正しいことだった」

「残念ながら、彼はミスを犯してしまった。これらのことはすべて経験であり、今後に生かされるはずだ。強くなるためには通らなければならないこともある。彼はそこからもっと強くなっていくしかない」

 勝田は、WRC初勝利を目指すためには、プッシュするタイミングと力を抜くタイミングを見極める努力をし続ける必要があると認めた。

「僕はとにかく学ばなければならない。すべてがうまくいっていてフィーリングも良いビッグチャンスの時に、焦らず、我慢することが必要なんだ」と勝田は説明した。「長い週末なので、絶対にプッシュすべきところと、ペースを犠牲にすべきところの見極めが必要だ」

 しかし勝田は、そのタイミングを見極めるのは簡単なことではないと認めた。

「我慢しなければならないと後から言うのは簡単だが、その匙加減は非常に小さい。我慢しすぎてスローダウンしてしまえばペースが失われる。だから絶妙な加減を見つける必要がある。それが週末全体において重要なことだ」