Raid2024/01/12

ダカール首位のアル-ラジがクラッシュでリタイア

(c)ASO

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 ダカール2024のリーダー、ヤジード・アル-ラジが第6ステージで大きなアクシデントに見舞われリタイアとなり、初優勝への期待はもろくも崩れ去った。

 オーバードライブ・レーシングのトヨタ・ハイラックス・オーバードライブT1+を駆ったアル-ラジは、第6ステージのオープニングレグで大クラッシュを喫し、ダカール・ラリーの優勝争いから脱落した。

 ダカールは木曜日、48時間クロノの第6ステージで前半戦最大のヤマ場を迎えた。2日間で579kmが予定されたステージは549kmへと短縮されたものの、タフな戦いであることに変わりない。木曜日の398kmを走破したあと、クルーたちはビバークに戻ってきてもメカニックの手助けが得られないため、大きなトラブルがあれば明日に向けてマシンの修理は不可能となる。そのためシュバイタをスタートしたクルーたちは2日間のステージをゴールすることを最優先に、安全を第一に慎重なスタートを切ったかに見えた。

 しかし、51km地点で総合リーダーのアル-ラジが砂丘で大きなアクシデントに見舞われ、マシンに大きなダメージを負ってリタイアとなってしまった。

 ダカールの公式ウェブサイトによると、アル-ラジはすでにスペシャルステージのスタート地点のシュバイタに戻っており、マシンの修理が完了し、FIAが定める安全規則を遵守していれば、休息日の翌日の日曜日、第7ステージをスタートすることができる。しかし、マシンはバレルロールを起こして激しくクラッシュしていることから、クルーを保護するロールバーが曲がり、破損したままではスタートは認められないことになる。

 しかし、たとえマシンの修復に成功したとしても、2日間にわたって総合トップを守ってきたアル-ラジが悲願だったダカールでの初勝利を挙げるチャンスを奪われてしまったことは確かだ。

 木曜日の398kmを走りきり、この日を最速で駆け抜けたカルロス・サインツ(アウディRS Q E-TRON E2 T1U)が前日までの3位から総合首位に浮上、15.58秒差の総合2位にはチームメイトのマティアス・エクストローム(アウディRS Q E-TRON E2 T1U)が続いており、この時点ではチーム・アウディ・モータースポーツが1-2態勢を築いている。

 前日まで2位につけていた昨年の覇者であるナッサー・アル-アッティーヤ(プロドライブ・ハンターT1+)はコースオープナーとして臨んだ木曜日の砂丘ステージで24分あまりも遅れてしまい総合3位に後退、首位からは21分41秒遅れとなっている。

 9度の世界ラリー王者であるセバスチャン・ローブ(プロドライブ・ハンターT1+)は後方でのスタートを選ぶため、前日にわざとウェイポイントをミスしてトップから43分遅れの9位に後退していたが、その狙いはこれまでのところうまくいっているようだ。彼はトップタイムのサインツから5分19秒遅れの3番手タイムで木曜日を終えて総合4位まで挽回しているが、首位からはいまだ36分51秒という大きな遅れを喫している。

 また、総合6位につけていたステファン・ペテランセル(アウディRS Q E-TRON E2 T1U)は油圧システムの損傷でパワーステアリングも失いパンク、修理のために256kmでストップしたが、油圧ジャッキが機能しないため48時間クロノの前半戦でリタイアとなり、表彰台の可能性はなくなった。