ERC2023/10/09

チョモシュが勝利目前で悲運、オストベルグが連覇

(c)RedBull Content Pool

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 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)の今季最終戦、ラリー・ハンガリーは地元ハンガリーのミクローシュ・チョモシュ(シュコダ・ファビアRally2エボ)がERC初優勝を目前にしてクラッシュ、マッズ・オストベルグ(シトロエンC3 Rally2)が2021年に続く2度目のラリー・ハンガリー勝者となった。

 チョモシュは土曜日、7SSのうち5つのステージでベストタイムを奪い、オストベルグに22.4秒差をつけて首位で日曜日の4ステージを迎えることになった。チョモシュはオープニングステージでも前日の勢いをキープ、オストベルグとの差をさらに0.9秒広げて、そのままERC初優勝に向けて突っ走るかにも見えた。

 しかし、チョモシュはSS10で右フロントタイヤをパンク、リムだけになったマシンで20秒あまりをロスしたためここでトップを失う恐れもあったが、オストベルグもまたパンクに苦しんだため、15.1秒差とアドバンテージは減ったものの首位をキープする。

 だが、SS11ではチョモシュにとってさらに悲惨な結果が待ち構えていた。高速の左コーナーでワイドになった彼は立ち木に激突、勝利まで1ステージを残してリタイアとなってしまう。

 このハンガリーではMRFからピレリタイヤにスイッチしたオストベルグは、逆転で前回開催された2021年に続き2大会連続でハンガリーの勝者に輝くことになった。

「本当にハードなシーズンだった」とオストベルグは語った。「複雑な気分ではあるが、このような形でシーズンを締めくくることができたことはよかったよ。ラリーをとても楽しむことができたし、クルマもうまく走ってくれたからね」

「でも、ミクシィ(=チョモシュの愛称)のことはとても残念に思っている。週末を通して彼にプレッシャーをかけ続けようとしたが、彼は接戦でとても強かった。コースを外れてしまったのは残念なことだよ」

 地元ハンガリーのフェレンツ・ヴィンチェ(シュコダ・ファビアRally2エボ)がオストベルグから12.8秒遅れの2位でフィニッシュ、彼はERC初ポディウムで2019年に続く2度目のハンガリー・チャンピオンを祝っている。

 今季のラトビアとポーランドで2勝を飾ったマーティンシュ・セスクス(シュコダ・ファビアRS Rally2)は他のドライバーのようにパンクの見舞われるようなドラマはなく3位にポジションを上げてフィニッシュ、今季4度目の表彰台を獲得している。

 注目されていたセスクスとオストベルグのよるドライバーズ選手権2位争いは、セスクスが19ポイント差でベテランを下して、ヘイデン・パッドンに次いでランキング2位でシーズンを終えている。「クレイジーな1年だった、MRFタイヤをはじめ、このレースに関わってくれたすべての人に感謝している」とセスクスは語った。「ターマックでの表彰台は厳しい結果があったあとだけにうれしい。オストベルグは本当に速い。僕たちは彼らのペースには届かなかったけど、この週末に表彰台を獲得できてうれしいよ」

 ヨアン・ボナート(シトロエンC3 Rally2)は土曜日の横転から挽回し、フリシェス・トゥラン(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)を抑えて4位に入った。

 エリック・ツァイス(シュコダ・ファビアRS Rally2)は、ヴィンチェの18秒後方につけていたが、チョモシュやオストベルグがパンクに見舞われたSS10ではタイヤ交換、さらにパワーステージでもパンクしたために7位に終わっているが、ふたたびポディウムが可能なペースをみせたことは来シーズンに向けて自信になっただろう。「来シーズンはもっと運に恵まれることを願っている。今は笑顔でいたいけど、とても難しいよ」。

 ERCジュニアは、最終日までタイトルを争う二人の争いとなり、ノルベルト・マイオール(プジョー208 Rally4)が7.1秒差でロベルト・ダプラ(プジョー208 Rally4)を下してチャンピオンに輝いている。