ヘイデン・パッドンは、今週のバルム・チェコ・ラリー・ズリーンの結果次第ではFIAヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)の初戴冠を決めることができる。
パッドンはコドライバーのジョン・ケナードとともにBRCレーシング・チームのヒョンデi20 N Rally2を駆って、ERCの70周年記念シーズンを戦ってきた。二人は開幕戦ラリー・セーハス・デ・ファフェで優勝を飾ったあと、第2戦ラリー・イスラス・カナリアスから第5戦ロイヤル・ラリー・オブ・スカンジナビアまで4連続で2位フィニッシュ、大きな課題として位置づけていたターマックラウンドのラリー・ディ・ローマ・カピターレでも3位に入っており、6戦すべてにおいて表彰台を守っていた。
シーズンはすでに2戦を残すのみとなっており、タイトルの可能性をもつのは、選手権リーダーのパッドンと55ポイント差で続くマーティンシュ・セスクスのみだ。セスクスはラリー・ポーランドと母国ラトビアで開催されたラリー・リエパーヤで連勝を飾ってタイトルの候補に名乗りを上げたが、前戦のラリー・ディ・ローマでクラッシュしてノーポイントに終わっており、タイトル争いを続けるには非常に厳しい状況に直面している。
セスクスがタイトル決戦を最終戦のラリー・ハンガリーまで持ち越すためには、今週末に行われるチェコ・ラリー・ズリーンで勝利し、パワーステージで最速タイムを記録する必要があるが、その場合でもパッドンは6位でフィニッシュするだけでタイトルを獲得することになる。
セスクスはこれまでにERCで3勝を挙げているが、それらはいずれもグラベルでのもので、ターマックはパッドン同様に彼にとっても課題となっている。チェコ・ラリーでは2012年にフィンランド出身のユホ・ハンニネンが優勝して以来、これまで10年間にわたってチェコ人以外の優勝者は出ていない。なかでも2013年にERCチャンピオンに輝いているチェコ出身のヤン・コペツキはここで過去10度の優勝経験を誇り、今週末も優勝候補筆頭に挙げられている。
パッドンは有利な状況であることを認めながら、不安定な天候が予想される今週末はステージに集中していくことが重要だと言い残している。
「確かにポジティブな状況だが、何事も当然と考えることはできない。まだやるべきことは残っているが、目標は今週末にそれをまとめることだ。ローマのようなスムースなターマックとは異なり、ズリーンはバンピーでウェットであることも理解している。期待せずに臨み、そこから積み上げていくつもりだ」