ノルベルト・マイオールと彼のコドライバーを務める妹のフランチェスカは、ラリー・ハンガリーで勝利したことで、ジュニアERCのタイトルを獲得、2024年シーズンにジュニアWRCへの出場権を獲得することになった。
ルーマニア出身のマイオール兄妹フランチェスカは先週末のERC今季最終ラウンドで、熾烈なタイトル争いを展開していたロベルト・ダプラとオーラ・ノーレを相手に、勝利した者がタイトルも手にするという決戦を見事に制している。
マイオール兄妹にとって不利な状況だったというのは大げさに聞こえるかもしれないが、今回のラリー・ハンガリーの週末に向けて今季のジュニアERCの勝利数ではノーレが2勝、ダプラが1勝を挙げていたのに対し、マイオールはまだ未勝利と出遅れていた。
しかし、マイオール兄妹がライバルたちを圧倒していたのは、一貫性だった。これまで出走した5回のイベントおいて、二人が表彰台に立てなかったのは1回だけとなっている。
国境を接するルーマニアの出身で、ラリー・ハンガリーの経験もある二人は静かにチャンスをうかがっていたに違いない。しかし、ラリーが始まってすぐ、オペル・コルサを初めて使用していたノーラが土曜日の最初のステージでパンクを喫して3分以上をロスして争いから脱落、ラリーのリードそしてタイトルをめぐる三つ巴の戦いはプジョー208 Rally4を駆るマイオールとダプラの対決に絞られる。
そしてダプラもドラマに無縁というわけではなく、次のステージで彼のプジョーのボンネットから煙が上がる。
このすべてがマイオールにチャンスをもたらし、彼はすぐにリードを築いている。それでもその差は僅差で、25歳の彼のアンドバンテージが16.1秒を超えることは、週末を通して一度もなかった。
最終ステージでマイオールは、ダプラを4.5秒下回り、その差13.9秒となるも、マイオールはリスクを排除し、確実に仕事をこなしてゴールを迎えることになった。
ノルベルトとフランチェスカがクルマから出てくる前から、サポーターたちはシャンパンのボトルを手にし、集まっている。そして兄と妹は温かい抱擁を交わし、その喜びの瞬間を物語っている。
「言葉もないほど素晴らしいよ」とノルベルトは語った。
「ここを見て、たくさんの友達を見て、信じられない気分だったよ。難しい1年だった。ERCの全戦に出場するためにあらゆることを試したが、それをやり遂げることができた。本当にうれしいよ」
「この勝利にふさわしい人たちがたくさんいる。僕とフランチェスカはクルマに乗っているけれど、僕らの隣にはほかにも多くの人たちがついていてくれてたくさん助けてくれた。素晴らしい気分だよ」
ダプラはERC4のタイトルを獲得することはできたが、先にフィニッシュラインに到着した彼は、まだゴールに向かって走っているジュニアERCの勝者となるライバルをスポーツマンらしく讃えていた。
「僕らにとってはOKだよ。信じられないようなレースをしたんだからね。たった13秒のためにゴールラインを争っていたのだから、これは素晴らしいことだ。まだ、マイオールのタイムはわからないが、彼はとても誠実でフェアな人だから、この勝利にふさわしい」