WRC2024/01/23

モンテカルロはタイヤ戦略が重要

(c)Pirelli

 ラリー・モンテカルロは、近年のイベントよりも厳しい雪と氷に覆われた路面を求めて、3年ぶりにフレンチアルプスの麓のギャップにベースを戻す。すでに月曜日から現地ではレッキが始まっているが、天気予報でもいまのところ週末にかけて雨や雪の予報はなく、過酷なコンディションは予想されていないが、それでもシーズン緒戦が誰にとっても厳しい試練となることは間違いない。

 ラリー・モンテカルロは、ステージごとに路面が変化するため、さまざまな種類のタイヤをいかに正しく選択し、使いこなすかが何よりも重要視されるイベントだ。ドライバーにはタイヤ戦略を微調整する能力を問われることになるが、そのためにもメティオによる正確な天候予想やグラベルクルーからの情報収集を含めたチームのサポートが重要となる。

 ピレリでは、第92回ラリー・モンテカルロの4日間のうち、最も過酷なのは3つのステージを2回ループして134.86kmを走る土曜日がもっとも困難な1日となると予想している。ピレリのラリー・アクティビティ・マネージャーを務めるテレンツィオ・テストーニは、次のように語った。

「昨年同様、我々は今シーズンもすでに過酷なイェンナー・ラリーで1勝を手にしてラリー・モンテカルロに臨む。我々のタイヤレンジは、WRCに参戦してきたこの数年間でチームとの協力や経験の積み重ねによって進化を続けており、今後どのように発展していくかについて、シーズン緒戦のこのラリーは大きな示唆を与えてくれるだろう。このラリーは間違いなくシーズンでもっとも過酷なラリーのひとつであり、タイヤは、ドライバーたちが直面する様々なチャレンジへのアプローチと同様に大きな違いを生む。各チームは、過去の大会で信頼性が高く、どんなコンディションでも万能であることが証明されたタイヤを頼りに、多くの戦略を用意している」

 ピレリは開幕戦モンテカルロでは、PゼロRA WRCソフトとPゼロRA WRCスーパーソフトの2種類のターマックタイヤ、ウィンタータイヤのソットゼロ STZ-Bのスタッドレスとスタッド付きの2種類、合計で4種類のタイヤを供給する。

 PゼロRA WRCソフトは滑りやすいドライアスファルトのために最適化されたスペックとなり、2023年にリニューアルされたPゼロRA WRCスーパーソフトはきわめて低温下となるターマックでのグリップが要求されるモンテカルロ専用スペックとなる。

 モンテカルロではソットゼロ STZ-Bがスノー、スノーアイスだけでなくウェット路面などあらゆる状況に対応する汎用性の高いウィンタータイヤとして用意される。そのため雨専用のウェットタイヤが用意されない。ソットゼロ STZ-Bにはスタッドレスとスタッド付きの2種類がある。2024年モンテカルロは3年ぶりに標高が高いギャップをベースに開催されるため、より雪のセクションが多くなっているラリーのルートを考慮して開発されたもので、前モデルよりも頑丈で耐性のある構造を特徴としている。

 トップカテゴリーの各ドライバーには合計で80本のタイヤが割り当てられ、そのうち競技に使えるのはシェイクダウン用の4本を含む38本までとなる。各ドライバーへの割り当ては次のとおり。

PゼロRA ソフト=24本
PゼロRA スーパーソフト=20本
ソットゼロSTZ-B スタッド付き=24本
ソットゼロSTZ-B スタッドレス=12本

 さらに、ピレリはWRC2を含む4輪駆動車にも同じように4種類のタイヤを供給する。各ドライバーに割り当てられるタイヤ本数は次のとおりとなる。

PゼロRA7+B ソフト=20本
PゼロRA9 スーパーソフト=16本
ソットゼロSTZ-B スタッド付き=24本
ソットゼロSTZ-B スタッドレス=12本