Raid2024/01/19

ローブ失意のサス破損、サインツが4勝目に王手

(c)ASO/DPPI

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 ダカール・ラリー2024の第11ステージは長かった戦いの勝負を決めるステージとなった。ダカール初優勝を諦めずにプッシュしてきたセバスチャン・ローブ(プロドライブ・ハンターT1+)がサスペンション破損のため痛恨のマシンストップ、チーム・アウディ・モータースポーツのカルロス・サインツ(アウディRS Q E-TRON E2 T1U)が4度目のダカール優勝に大きく迫ることになった。

 木曜日の第11ステージは、アル・ウラからヤンブまでの420kmのステージが舞台となった。ダカールは明日の第12ステージが最終ステージとなるため、前日、首位のサインツまで13分22秒差まで迫ったローブは岩だらけのリスキーな第11ステージでも勝負を賭けるようにプッシュしていく。だが、132km地点でのヘビーランディングでフロントサスペンションを破損、マシンを止めることになった。

 カメラクルーが到着したときもローブはただ立ち尽くして、お手上げだと天を仰いだ。

「1速のセクションで、クルマが反対側にひっくり返りそうなところがたくさんあったんだ。山頂にいると見えないし、超えたところに岩があったんだろう。それが前輪に当たって、サスペンションがねじ切れてしまった」とローブは語った。

 壊れたマシンの横を通り過ぎるサインツに向けてローブはOKのサインを出したが、それは今年の勝利に向けた挑戦が終わったことをライバルに告げているようにも見えた。

「もうダメだろう。アシストが必要なのは、曲がってなくなってしまった部品があるからだ。すぐ後ろにプロドライブはいないだろうから、もう終わりだと思う・・・」

「正直なところ、1位を追い掛けていたのだから仕方がない。今日はいいレースがしたかった。アウディ勢はたくさんいるし、お互いに助け合うこともできる。そういうものだよ」

 ローブは、プロドライブ・カスタマーの雲翔チームのハンターにアシストをうけてラリーを再開することになったが、トップのサインツからは1分36秒遅れでフィニッシュ、ギヨーム・ド・メヴィウス(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブT1+)に抜かれて総合3位へと後退することになった。

 ローブがマシンを止めたあと、サインツはあまりにも岩だらけのセクションではトラブルを避けるために大きくペースを落とすことになり、トップタイムをゲラン・シシェリ(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブT1+)に譲ることになった。これまで一度もステージ勝利はないが、サインツは1時間30分という大差で総合首位をしっかりと守ってゴールしている。

「セブがコース脇で止まっているのを見た瞬間から、それ以上リスクを冒すことはなかった。石がたくさんあって、ちょっとしたくじ引き状態だった。本当にゆっくり走っていたけど、僕もステージ終盤でスローパンクしてしまった。そのスピードでもパンクする可能性はあっただろう」とサインツは無事にゴールできたことを喜んだ。

「もちろん明日にはまだ170kmのスペシャルステージが残っている。このレースについては十分知っているし、フィニッシュするまで勝負は終わりではない。サービスでマシンをしっかりとチェックしてもらい、明日に集中するつもりだ」

 ローブのトラブルでトヨタGAZOOレーシングのルーカス・モラエス(トヨタGRダカールハイラックスEVO T1U)が総合2位へ浮上したが、彼は残り60kmで深刻なトラブルに見舞われてしまい、2時間あまりもストップ。総合9位へと後退してしまった。

 第11ステージを終えて、サインツの1時間27分後方の2位にはド・メヴィウス、9分差の3位でローブが続き、さらに6分差で2日続けてステージ勝利を飾ったシシェリが続いている。

 明日の第12ステージで今年のダカール・ラリーはいよいよフィニッシュを迎える。残されたのはわずかに175kmのみだ。