WRC2024/02/20

2期生山本がWRC2デビュー戦10位、小暮は20位完走

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である小暮ひかる、山本雄紀が、2月15日から18日にかけてスウェーデン北部で開催されたラリー・スウェーデンにGRヤリスRally2で参戦、WRC2デビュー戦を最後まで走り切り、山本は10位で、小暮は20位で完走した。

 WRCチャレンジプログラムの2期生である小暮と山本は、2月の上旬にフィンランドで開催されたアークティック・ラップランド・ラリーで、初めてGRヤリスRally2でのラリーを経験、今シーズンの挑戦2戦目となるラリー・スウェーデンにも、引き続きGRヤリスRally2で臨むことになった。二人は昨年もラリー・スウェーデンに出場しているが、クルマは前輪駆動のRally 4カーだったため、パワーもスピードも大きく異なる4輪駆動のRally2カーでの出場は大きなチャレンジとなった。

 スウェーデン北部の都市ウーメオを中心とするステージは全て雪道で、ハイスピードなコーナーが連続する。とくに金曜日は大雪に見舞われ、路面は非常に滑りやすいコンディションとなった。そのような道での経験がWRC2のライバルと比べて豊富ではない彼らは、トリッキーな路面に苦戦しながらも着実に経験を積むことになった。

 コドライバーのマルコ・サルミネンとペアを組む山本は、金曜日をWRC2カテゴリー7位で走破。一方、トピ・ルフティネンとペアを組む小暮は、朝のループでは山本と同じペースをみせていたが、スノーバンクでのスタックや、2本のパンクなどで30分近くを失いながらも、19位でフィニッシュしている。

 ラリー最長となる土曜日のステージは、金曜日と大きく異なるコンディションとなり、青空の下でハイスピードな戦いが繰り広げられた。山本は夕方のステージでパンクを喫し、サスペンションにもダメージを受けたことでスロー走行を余儀なくされたが、それでもWRC2カテゴリー10位に。一方、小暮は午後のループの最後でまたしてもスノーバンクに激突してスタック、デイリタイアとなっている。

 スウェーデン最終日の日曜日、小暮は再出走し、多くの経験を積んでWRC 2カテゴリー20位で完走。山本も今後に向けていろいろな走りを試しながら日曜日も全ステージを走り切り、WRC2カテゴリー10位でフィニッシュした。

 小暮は、フラストレーションを感じるシーンもあったと認めながらも、良い経験を積むことができたと語っている。

「浮き沈みの激しい週末でしたが、全体的にはとてもいい経験になりました。フラストレーションを感じる場面もありましたが、ステージによってはいいスピードといいリズムで走ることができました」

「アークティック・ラップランド・ラリーと比べると、自分のペースが良くなっていることを感じましたし、ステージごとに常に改善していきました。ステージは全体的にとても高速でしたが、金曜日はトリッキーなコンディションになり、いい経験を積むことができました」

「ラリー終盤にかけては大きく順位を下げていたので、路面にはグラベル(砂利)が多く出ていて、タイヤに厳しいコンディションでした。それも含めていい勉強になりましたし、走りを楽しむこともできました。雪道での走行距離を稼ぐことができたので、次のラリーではさらにスピードを上げられるようになることを期待しています」

 また、山本は厳しい場面もあったが、速いドライバーたちの走行ラインを追い掛けたことは良い経験になったと語っている。

「難しい場面もありましたが、本当にいいラリーでした。コンディションは毎日大きく変化しましたが、それもいい経験でしたし、勉強になりました」

「金曜日は雪が多く降って多くの轍が刻まれるなど、本当にトリッキーでしたが、そのようなコンディションでもいいフィーリングを持ち続けることができました。土曜日の終盤は岩にぶつかってしまい、最後のステージはかなりゆっくり走らなければなりませんでした。しかし、日曜日はコンディションが非常に良く、自分のフィーリングもどんどん良くなっていきました。速いドライバーたちの走行ラインをフォローし、彼らとタイムを比較できたのもいい経験でした。本当にいい週末になりましたし、次のラリーでも学びを続ければ、もっといい走りができるようになるはずです」

 2期生のインストラクターを務めるユホ・ハンニネン

「ひかると雄紀にとって厳しい戦いになることは分かっていたが、Rally2カーでの参戦はまだ2回目で、コンディションもかなり厳しかったにもかかわらず、ポジティブな週末になった。雄紀は全ステージを、ひかるもほぼ全てのステージを走ったので、多くの経験を積むことができたし、ノーミスでクリーンな走りができたときのステージタイムは、かなり良かったと思う」

「特に金曜日のコンディションは誰にとっても厳しかったが、このようなクルマで走った経験がなかったことを考えれば、彼らはよく乗り切ったと思う。その後も路面のグリップは頻繁に変化し、経験が少ないドライバーがドライビングを適応させるのは難しい状況だった。今回、彼らは確実に多くのことを学んだと思うので、次のフィンランドでのラリーは少しやさしく感じられるだろう」

 小暮と山本の次戦は、3月8日から9日にかけてフィンランドで開催される、フィンランド・ラリー選手権第3戦トゥーリ・ラリーとなる。このラリーもまたフルスノーイベントであり、全体的にフラットかつ高速なステージが多いのが特長となる。