ERC2023/07/31

5度目の正直、クルニョーラがERCローマで初優勝

(c)RedBull Content Pool

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 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第6戦のラリー・ディ・ローマ・カピターレは7月30日に最終日を迎え、イタリア・チャンピオンのアンドレア・クルニョーラ(シトロエンC3 Rally2)が23.1秒差をつけて優勝を飾ることになった。クルニョーラにとってはこれが初のERC勝利、イタリア選手権では開幕5連勝を飾り、2年連続3度目王座を獲得することになった。

 クルニョーラは金曜日とともに土曜日もすべてのステージを制し、2度のヨーロッパ・チャンピオンに輝いたことがあるジャンドメニコ・バッソ(シュコダ・ファビアRally2エボ)に対して20.2秒のリードを築いていたとはいえ、けっして精神的には余裕のある最終日ではなかっただろう。

 クルニョーラは過去4年にわたって地元で開催されるERCローマでは優勝してもおかしくない速さをみせながら、不運につきまとわれてきた。2019年と2021年にはパンクで数秒を失うまでラリーをリードし、2020年には開幕ステージのクラッシュから復活して翌日の1ステージを除くすべてのステージでベストタイムを奪う圧巻の速さをみせており、昨年も優勝の大本命と見られながら、トップで迎えた最終日にスロットルトラブルでスローダウン、不運の連鎖を断ち切ることができなかった。

 灼熱の太陽が照りつけるローマのターマックには罠が多い。今年もゴールを目前にした最終ループの3ステージでは路面にかき出された石でパンクやホイールトラブルで上位につけていた何台ものマシンが犠牲になったが、クルニョーラはそれらの難しさを何度も味わってきた。

 クルニョーラは前日までの圧倒的な走りから最終日の最終ループではペースをコントロール、バッソに23.1秒差をつけてERC初優勝を飾った。

「毎年、ERCドライバーたちとここで戦うのを楽しんできたよ。特に今年はレベルが本当にクレイジーに高いから、常にチャレンジングだった。僕はスタート前、イタリア選手権に勝つことに集中していると言ったが、ERCで勝つことは特別なことだよ」とクルニョーラは語っている。

 クルニョーラの後方のポディウム争いは終盤にドラマチックな展開のなかで決着することになり、2位にはバッソが入り、6位で最終日を迎えた選手権リーダーのヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 N Rally2)は3位にポジションを上げてフィニッシュすることになった。

 フィニッシュの1つ前のステージの29.08kmのサントパドレの2回目の走行は、ヨアン・ボナート(シトロエンC3 Rally2)を含む何人ものドライバーにとって悪夢のステージとなった。ボナートは、バッソと2位をめぐって最終日も接戦を繰り広げ、0.1秒差の3位でこのSS12を迎えたが、無数の石が転がるセクションでパンク、タイヤを交換するためにストップしたため7位に終わることになった。

 この悪夢のような罠の犠牲になったのは彼だけではない。5位につけていたシモーネ・カンペデッリ(シュコダ・ファビアRally2エボ)、6位のアンドレア・マベリーニ(シュコダ・ファビアRally2エボ)、7位のフィリップ・マレシュ(シュコダ・ファビアRally2エボ)は僅差のバトルを続けており、それが災いして全車がタイヤ交換のためにストップして、ポイント獲得圏外へと脱落してしまった。

 もちろんERCタイトルを狙うパッドンはこのようなドラマを避けており、ドラマに満ちたSS12を無傷で通過して3位でフィニッシュし、開幕から5戦連続表彰台を達成した。

 タイトルを争うマーティンシュ・セスクス(シュコダ・ファビアRS Rally2)が初日のクラッシュでリタイアしているため、パッドンの選手権のリードは55ポイント差と大きく広がることになった。それでもパッドンは、タイトルに近づいた? という質問に冷静でいなければならないと答えながらも笑みをみせていた。「楽観的に物事を考えるのはまだ早いよ。次のバルム(・チェコ・ラリー)はまた違ったストーリーになると思うし、今年最も楽しみにしていないレースだ! それでも選手権にとっていい結果だったのは間違いない。ファンとチームに感謝しているよ」とパッドンは語っている。

 チームMRFタイヤから参戦するデイフェンディングチャンピオンのエフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビアRS Rally2)もSS10で道路の真ん中にあった岩に激突し、ラジエターを修理する波乱はあったが、上位陣の混乱で8位から4位へとポジションを上げてフィニッシュしている。「今シーズンは決して楽なものではなかったが、応援してくれる人たちがいれば、それは簡単なことなんだ。インターコムなしで29kmのステージを走った!これで3年連続の4位だ。応援してくれたみんな、ありがとう」

 ERC3ではジョン・アームストロング(フォード・フィエスタRally3)が、地元のヒーローであるパオロ・アンドレウッチ(ルノー・クリオRally3)に3分51秒差をつけて今季5勝目を飾り、チャンピオンに花を添えることになった。また、ERCジュニアでは地元のロベルト・ダプラ(プジョー208 Rally4)が今季2勝目を飾っている。