JAPAN2024/03/06

MORIZO Challenge Cupがラリー三河湾で初開催

(c)Toyota

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 3月1日〜3日にかけて、愛知県・蒲郡市を拠点に2024年シーズンの全日本ラリー選手権開幕戦ラリー三河湾が開催され、今季から導入された若手育成カテゴリー「MORIZO Challenge Cup」において、FIT-EASY Racingの山田啓介/藤井俊樹が優勝を飾った。

 MORIZO Challenge Cup(MCC)は、若手ドライバー育成を目的に導入された全日本ラリー選手権JN-2クラスのサブカテゴリーとして誕生、JN-2クラス車両規定をベースとしたトヨタGRヤリスで争われる。全日本ラリー選手権全8戦で開催され、25歳以下(一部条件付きで29歳以下)のドライバーが対象となる。1位〜3位までの上位入賞者にMCC独自のポイントが与えられ、シリーズ年間成績優秀者には、フィンランドのTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamにおいて、ラリー講習への参加権利が与えられる。

 開幕戦のラリー三河湾には、大竹直生選手、山田啓介選手、貝原聖也選手、KANTA選手、中溝悠太選手、稲葉摩人選手、星涼樹選手、最上佳樹選手の8名がエントリー。車両の関係で参戦を見送った稲葉以外の7名が、ターマック(舗装)を舞台とするバリエーション豊富な14のスペシャルステージへと立ち向かう。ラリースタート前日のセレモニアルスタートでは、大会オーナーであるモリゾウ(豊田章男会長)が全選手へ熱いエールを送り、若手ドライバー達の真剣勝負の幕があがった。

 ラリー初日、序盤から素晴らしい速さを見せたのは、フィンランドでの豊富なラリー参戦経験を持つ大竹だった。SS2で初ベストタイムをマークすると、SS4からSS7まで連続ベストタイムを刻み、2番手につける貝原に13.1秒の差をつけることになった。ところが、この日を締めくくるSS8でオーバースピードからコースオフ。車両のダメージが大きく、ラリー続行を諦めることになりました。

 この結果、SS3でベストタイムを記録し、その後も安定したペースで走行していた貝原が初日を首位で折り返し、4.1秒差の2番手に山田、大きく離れて3番手に中溝、4番手にKANTAがつけることになった。

 ラリー最終日は、山田がSS9を制して貝原をとらえて首位に浮上して始まることになった。貝原も負けじとSS10ではベストタイムで応戦するも、SS12を制した山田がリードを20.1秒に拡大する。逆転を狙う貝原は、難しいコンディションとなったSS13で山田を20.4秒引き離す圧巻のベストタイムをたたき出し、0.3秒ながらも山田を上まわって首位を奪い返した。

 しかし、貝原はSS13においてスローパンクチャーに見舞われてしまい、最終SSとなったSS14で大きくタイムロス。これで山田が逆転し、MORIZO Challenge Cupの初優勝、そして全日本ラリー選手権JN-2クラスにおいても、昨年の久万高原以来となる勝利を飾ることになった。2位に貝原、3位にはKANTAが入り、MORIZO Challenge Cupのポイントを獲得している。

■山田啓介(MCC1位/JN-2クラス1位)
僅差の展開となった最終日は、クルマの状態を確かめつつ、できる限りのプッシュをしようと挑みました。特に午前中は、今できるベストの走りができたと思っています。SS13で貝原選手に逆転されてしまったのは、想定よりも抑えすぎてしまったことと、貝原選手の素晴らしい走りが理由です。今回、優勝できたことはうれしいですし、ぜひフィンランドにも行きたいです。次戦までは1カ月あるので、クルマをしっかり準備し、今回スピードを見せていた大竹選手に肩を並べられるように仕上げたいです。

■貝原聖也(MCC2位/JN-2クラス2位)
ラリー三河湾は、バリエーションに富んだSSが多く、勝ったり負けたりの展開になりました。SS13の終盤からスローパンクチャーしていたようで、最終SSでタイムを延ばせませんでしたが、この状況の中ではベストを尽くせたと思っています。完走することで、GRヤリスの動きを学ぶことができた点は収穫ですし、自分の成長につながる一戦になりました。最終日は一方的に山田選手に離される展開を予想していたのですが、今回のように僅差になったことで、この乗り方で合っているのだと自信になりました。

■KANTA(MCC3位/JN-2クラス7位)
最後まで走り切ることができて、本当にほっとしています。ただ、ラリードライバーとしての経験が浅いため、滑りやすい路面では走るだけで精一杯でした。ようやくスーパーSSのKIZUNAでは気持ち良く走れる状況にはなったのですが、最後は気持ちよく走り過ぎ、タイムロスをしてしまいました。今回、ひとつのラリーをすべて走り切れたことで、全体の流れをつかむことができました。走りに関しては、これから少しずつ進化していきたいです。

■大竹直生(最多SSトップタイム賞/JN-2クラス リタイア)
SS1が先行車両のトラブルにより走れなかったため、クネクネした道は今大会初めてでしたので、クルマのことを確かめながら走っていた段階でした。しかし、初日のSS8でコーナーに少しオーバースピードで入ってしまい、汚れた路面に足をとられてしまいました。ペースノートの精度などはフィンランドで学んできたことが活きて、以前、全日本ラリー選手権に出ていた時よりも確実に良くなっているという手応えがあります。結果は残念でしたが、ちゃんと走れば良いタイムを出せることが分かったので、しっかり反省して、次は確実にポイントを獲得できるようにしたいと思います。