WRC2024/03/27

トヨタ、革新的なデザインのシュノーケルを公開

(c)Toyota

 サファリ・ラリー・ケニアでは、今年からRally1カーにもサファリの特殊装備であるシュノーケルが認められたが、エンジンへの空気供給を目的としたダクトの開口部はこれまでのボンネットだけでなく、フェンダーに開口部を設けることが許されている。これによってトヨタGRヤリスRally1は左フロントフェンダー上部に開口部を設けたシュノーケルのレイアウトを採用、さらにルーフの上のダクトはまるでウイングのような革新的なデザインとなっている。

 シュノーケルは、エンジンがフェシュフェシュと呼ばれる砂や水を吸い込まずに吸気できるようにサファリ・ラリーのためだけに許された特別な装備であり、空気をエンジンに送るダクトをボンネットを貫通させてルーフの上まで高々と伸ばすのが、歴代のサファリ・カーの特徴的なスタイルとなってきた。

 サファリは今季、雨季の始まりに開催日程を移したことで、道路の穴に泥水がたまったマッドホールがたくさん生まれることが予想されるため、Rally1カーにもシュノーケルが認められることになったが、ダクトの開口部はこれまでのボンネットだけでなく、フェンダーに開口部を設けることが許されている。

 シュノーケルは、すべてのイベントで装備が許されるわけではなく、イベントのサプリメンタリー・レギュレーション(補助規定)で許された場合のみ使用することが可能だと定められており、事実上、これまでもサファリ・ラリー専用の装備となってきた。

 サファリ・ラリーは、3月14日にサプリメンタリー・レギュレーションの訂正を行い、グループRally1からRally5までのラリーカーはエンジンへの空気供給を可能とする開口部をフェンダーにも設けることを認めると発表している。これによって蛇腹状のホースをダクトの一部に使用しなくても、ボンネットを開けることが可能となるため整備性が向上、さらに高速ステージが特徴のサファリでは空力面での効果も期待できそうだ。

 サファリに向けたプレイベントテストで走行しているラリーカーの写真を公開したのはMスポーツだけであり、スペイン高地でテストを行ったヒョンデのi20 N Rally1はアマチュアカメラマンによって撮影された動画から、いずれもボンネットの上に開口部が設けられたシュノーケルのダクトが確認されていた。しかし、トヨタはテスト時のオンボード映像のみを公開しただけで、シュノーケルの詳細については明かさず、サファリのシェイクダウンの日になってやっとその全貌を公開することになった。

 GRヤリスRally1の開口部はフロントフェンダーに設けられ、ダクトはボンネットの開閉を邪魔しないようにフェンダー上部に固定されている。Aピラーに沿ってルーフ上へと伸びるダクトはフェンダー上のダクトと接合する方式となっており、路面コンディションに応じて取り外しができるようにいる。さらに、Aピラーに沿うダクトの断面は空力を意識した形状となってリヤに空気がスムースに流れるような形状となっており、さらにダクトはルーフ上部で翼断面をもつ形状へと変化し、ルーフ上を横断するウイングのような長く凝ったデザインのシュノーケルとなっている。

 ちなみに、Rally1の開口部は最大面積350 cm2、Rally2からRally5の開口部は最大面積200 cm2となる。

 また、Rally2からRally5まではフロントインパクト・プロテクション(アニマルバーとスキッドガード)の装着が認められている。