WRC2021/07/20

パヤリがエストニアのジュニアWRCを制す

(c)M-Sport

(c)M-Sport

 19歳のサミ・パヤリは、ラリー・エストニアの4日間を最初から最後までリードし、FIAジュニアWRCで初勝利を収めた。パヤリは、2019年にフィンランドのAKKが主催するフライングフィン・フューチャースターに17歳で選ばれてから注目されてきた。

 Mスポーツ・ポーランドが製作したフォード・フィエスタRally4のワンメイクで争われるジュニアWRCは、第3戦を迎えたラリー・エストニアには開幕戦クロアチアで勝利を飾ったジョン・アームストロング、第2戦ポルトガルで勝利を収めて選手権リーダーとなったマルティンシュ・セスクスら8台がエントリーすることになった。

 木曜日の夜にタルトゥで行われた開幕ステージで素晴らしい速さをみせてラリーをスタートしたのはパヤリだ。彼は、本格的な高速ステージに舞台を移した金曜日も6連続でベストタイムを奪い、アームストロングに23.4秒差をつけてレグ1をリードした。

 土曜日のステージは、路面にわだちが刻まれて2WDマシンにとって難しいコンディションとなったが、パヤリはこの日行われた9つのステージのうち1回しかベストタイムを獲得しなかったものの、クリーンな走りを続けてリードを38.2秒へと拡大することに成功する。

 パヤリは最終日も後続のドライバーたちによる激しいバトルを尻目に安定したペースをキープ、最終的に24.1秒差をつけて勝利を収めることになった。

「今は言葉が見つからない。ここで勝てたことが本当にうれしく、心から感謝している」とパヤリは語った。「最終ステージはコンディションが悪く、スタックするのではないかと心配していたので、ゴールできてホッとしている」

 2位争いはわずか6.0秒差に3人がひしめく大混戦で最終日を迎えた。土曜日に4つのベストタイムを奪って2位へと浮上したスロバキアのマルティン・コチ、1秒差のアームストロング、同じく土曜日に4つのベストタイムを奪ったセスクスもアームストロングの5秒後方にピタリと続いている。

 SS19ネールティでコチは駆動系の問題からペースダウン、ベストタイムを奪ったアームストロングが2位へと浮上、これをセスクスがじわじわと追い上げ、SS21タルトゥ・ヴァルドを終えて二人の差は1.6秒にまで縮まることになる。

 だが、セスクスはSS22でパワーステアリングのトラブルで40秒遅れ、残り2ステージでコチに抜かれて4位に転落してしまう。しかし、コチは最終ステージでドライブシャフトを破損してしまいマシンストップ、3位にはセスクスが入ることになった。

 フィンランドのラウリ・ヨーナは4位、ルーマニアのラウル・バディウはさらに1分遅れの5位、その後には、ウィル・クレイトンが続いた。地元エストニア出身のロベルト・ヴィルベスは初日に3位につけていたが、SS3オテパーでドライブシャフトを破損してストップしている。

 ジュニアWRCの第3戦を終えて、エストニアで優勝を飾ったパヤリが4ポイントの差をつけてランキングトップに浮上、セスクスは選手権2位に後退し、アームストロングはさらに9ポイント差で3位となった。

 今季のジュニアWRCは、残り2ラウンドとなっている。次戦は8月のイープル・ラリー・ベルギーだ。