WRC2024/03/28

ピレリ、今年もサファリはソフトをメインタイヤに

(c)Pirelli

(c)Toyota

 ピレリタイヤは、今季初のWRCグラベルラウンドとなるサファリ・ラリー・ケニアではソフトコンパウンドのスコーピオンKX RWC SAをファーストチョイスとして、ハードコンパウンドのスコーピオンKX WRC HAがオプションとして供給する。

 かつての伝統に従ってイースターホリデーの週末に行われることになったサファリ・ラリーは、雨季に入る3月末に開催日が変更されたにもかかわらず、以前考えられていたよりも天候の心配はなさそうだ。今のところ、天気予報ではそれほどの大雨は心配する必要はなく、昨年同様に午後に短時間の降雨がある可能性が高いと予想されており、すべてのステージでいたるところにマッドホールが出現するようなサファリにはなりそうもない。

 スリッピーな路面、岩、段差、深い轍といったサファリの落とし穴は、もはやよく知られている。さらにフェシュフェシュと呼ばれる、クルマが簡単に沈んでしまうような細かい砂の落とし穴とそこに潜む岩の危険も軽視できない。路面にまつわるこれらの罠は、雨が降るとさらにやっかいになる。フェシュフェシュは水を含んでぬかるむと異常に滑りやすくなり、岩が露出して攻撃性は高まることになる。

 過去2年のサファリ・ラリーでは、すべてのトップドライバーが弾力性と信頼性に優れたソフトコンパウンドのスコーピオンKX WRC SAのみを使用してきたことから、ピレリは今年もスコーピオンKX RWC SAをメインタイヤとして指名、ハードコンパウンドのスコーピオンKX WRC HAがオプションとなる。

 スコーピオンKX RWC SAは、滑りやすい路面やウェットコンディションでもグリップを確保できるように設計されており、その性能はこれまでのサファリでも実証済みだ。一方、ハードコンパウンドのスコーピオンKX WRC HAは、より摩耗の激しい路面や長いステージに適したオプションタイヤとなる。

 2024年のWRCスポーティングレギュレーションでは、Rally1ドライバーにはそれぞれ、プライムとなるメインタイヤ28本、オプションタイヤ8本が割り当てられ、各ドライバーはオプションを12本まで増やし、その場合はプライムタイヤの割り当てが4本減すことができると定められている。

 今回のサファリでは、すべてのドライバーがオプションのハードを増やすチョイスを行わなかったため、ソフトが28本、ハード8本での戦いとなるが、ハードの出番はなく、ソフト28本のマネージメントに徹した戦いになると予想されている。

 ピレリでは、土曜日がこの週末で最もトリッキーな日になりそうだと分析している。特に象徴的なケドン・ステージ(31km)とスリーピング・ウォリアー(36km)だ。これらはルースストーンやルースグラベルが多く、前回同様雨の心配もあり、大雨が降り始めれば、瞬く間に泥の海が出現することになる。レッキの時点では最終日のオーズレンゴーニ・ステージがほぼ全域が雨でマディになっていたが、そのほかのステージではいくつかのぬかるみはあったものの、ほぼドライコンディションだ。

 ピレリ・ラリー・アクティビティ・マネージャーのテレンツィオ・テストーニは次のようにコメントしている。

「ソフトコンパウンドのスコーピオンSAは、ケニアやその他のラリーで、長年にわたって非常に万能であることを証明してきた。グリップと耐衝撃性の両方を確保するように設計されており、イベントの厳しい要求に耐えるには柔らかすぎず、サスペンションを損傷させるような硬すぎない構造になっている。ドライバーにとっては、サファリ・ラリーの本質、すなわちスピードよりも耐久性が重視されるイベントに取り組むことが重要であり、カレンダー上の他のラリーとは異なる」

 なお、ピレリは、Rally2にはスコーピオンK6B(ソフト)とK4B(ハード)、Rally3にはK6A(ソフト)とK4A(ハード)を用意している。これらのカテゴリーでは、メインタイヤは26本、オプションタイヤは8本が割り当てられる。ドライバーはメインを4本減らしてオプションを12本に増やすことができる。