TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの勝田貴元が、先週末に行われたクロアチア・ラリーで2度のベストタイムを奪って開幕2戦に続いて3戦連続で6位フィニッシュを果たすことになった。
初めてWRCが開催されたクロアチアのステージは全てターマックだが、舗装の状態は1つのステージ内でも大きく変化し、スムーズな路面もあれば、荒れて崩れかけているところもあった。また、先行するマシンがインカットをするため、初日、後方からスタートした勝田は泥や砂利が多く散らばった非常に滑りやすい路面を走行することになった。
勝田は、今季からから使用されるピレリのターマック用タイヤの経験が十分ではなかったこともあって、初日の金曜日はかなり難しい状況での戦いとなり、SS4ではジャンクションをオーバーシュート、SS6ではスピンを喫するなど経験不足によるミスが重なり、約1分を失い総合9位に留まった。
しかし、勝田のドライビングコーチであり、彼のグラベルクルーを務めるユホ・ハンニネンとそのコドライバーであるクレイグ・パリーの的確なアドバイスにより、勝田はドライビングとペースノートを改善、土曜日は格段にペースを果たすことになった。
勝田は、ロングステージのSS10では昨年の最終戦ACIラリー・モンツァのパワーステージ以来となる、キャリア2度目のベストタイムを記録、そのステージの再走となるSS14でもベストタイムをマークし、世界に通用する速さを証明、7位まで順位を上げることに成功した。
勝田は最終日の日曜日には安定して5番手前後のタイムを刻んで6位に浮上。開幕戦ラリー・モンテカルロ、第2戦アークティック・ラリー・フィンランド、そして今回のクロアチア・ラリーと、3戦連続で総合6位を獲得、ドライバーズ選手権で7位につけることになった。
勝田は次のように週末の戦いをふり返っている。
「いくつかのステージは良いタイムで走ることができましたが、それ以外のステージのパフォーマンスにはあまり満足できませんでした。全体を通じてアップ&ダウンが激しかったのは事実ですが、それもより良いドライバーになるための学習の一部だと考えています」
「土曜日に2回ベストタイムを刻むことができたのは、とても良かったと思います。特に、再走ステージでのベストタイムは、他のドライバーと同じような路面コンディションで出したタイムなので、なおさらです。初日の金曜日と比べれば大きく進歩したと思いますが、それは経験を積んだからです」
「今回のラリーよりも前に、あのような道を走ったことがあまりなかったので、何が起きるかも分からず、自信を持つこともできませんでした。しかし、ステージを重ねるごとに多くを学び、それが自信につながり、余裕を持って走れるようになりました。とても良い週末になりましたし、グラベルクルーを務めてくれたユホとクレイグ、そしてチームのみんなに感謝します」
インストラクターを務めるハンニネンは次のように語った。
「今回のタカの戦いにはとても満足している。ラリー前に新しいタイヤを履いてドライコンディションのターマックをヤリスWRCで走った経験があまりなかったこともあり、それが金曜日のタイムにも現れていた。路面のグリップが少し低いところではまだ少し躊躇し、あまり自信が持てないようだった」
「しかし、土曜日に路面のグリップが良くなると、同じステージで2回ベストタイムを記録した。2回目の走行では路面に砂利が多く出ていたので、さらに難しかったと思う。次のターマックイベントとなるベルギーのイープル・ラリーは路面のグリップが低いステージが多く、コーナーのインカットによって路面にグラベルが多く出るので、今回のクロアチアでの経験がイープルで活かされるはずだ。また、私としては今回も彼のグラベルクルーを務め、タカのペースノートにどれだけ詳細な情報を加えたらいいのか、その適切なバランスを理解したし、グリップが低い路面での自信の持たせ方も分かった」